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2021年6月7日
東洋経済オンラインの「歯磨きに虫歯を予防する効果はない 衝撃事実」に関する見解

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先日東洋経済オンラインに掲載された”歯磨きに「虫歯を予防する効果はない」衝撃事実”という記事が話題になっています。記事の中では歯磨きの必要性については触れられていないので「歯磨きが重要でない」と勘違いされないかが心配です。

記事にあるように、歯磨きそのものはむし歯の予防にさほど有効でないことがわかっています。歯磨きによるむし歯の予防効果は、フッ素(フッ化物)を含んだ歯磨剤を使用することによるものが大きいです。

記事の中ではむし歯の予防の2つの方法として、「糖分の摂取頻度を減らす」と「フッ素の使用」が挙げられています。

皆さん意外と見落としがちですが、むし歯予防に最も効果的なのはむし歯菌の栄養となる糖分を減らすことです。むし歯菌は食べ物の中の糖分を栄養として酸を作ります。これにより食後はお口の中が酸性になり歯が溶け始めますが、唾液の作用により徐々に中性に戻り再石灰化がおきます、通常はこのバランスが取れているため歯が過剰に溶けることはありません。
しかし糖分の摂取頻度が高いと、お口の中が酸性になっている時間が長くなり歯が過剰に溶けることになります。むし歯はこうして発生するのです。

糖分の過剰な摂取はむし歯だけでなく全身の病気の原因にも成り得ます。そのため三阪歯科医院では食生活の見直しをまずは提案させていただいています。

もう1つの方法であるフッ素の使用は、歯を強化する(酸への抵抗力を高める)作用があります。しかし、あくまで補助的なもので基本は「糖分の摂取頻度を減らす」と考えてください。

記事には挙げられていませんでしたが、2つの方法以外に「むし歯菌の数を減らす」方法もあります。特に、上記2つに気をつけているにもかかわらず、むし歯ができやすい方は、むし歯菌が多い体質かもしれません。むし歯菌を減らす方法の一つにキシリトール配合のガムを噛むことがあります。

キシリトールの有効な摂り方
*1日あたり5〜10グラムの量(ガムで3〜5粒)を3回以上に分けて噛みます。これをを3ヶ月以上つづけることで効果は2年ほど続くといわれています。
むし歯を予防する効果がないのであれば歯磨きはなんのためにするのでしょうか。それはプラークを除去し、お口のばい菌を減らすために行うのです。
むし歯と並ぶお口の疾患に「歯周病」があります。歯磨きをしないとプラークによって3日程度で歯ぐきに炎症(歯肉炎)がおこりはじめま。歯磨でプラークを除去することは歯周病の予防に対して効果のあることがわかっています。
さらに、お口の中が汚れていると高齢になったときに誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。誤嚥性肺炎のリスクを減らすにはお口の中を清潔に保つ歯磨きが有効です。

むし歯の予防に効果がなくとも歯磨きは重要です。そのため、歯磨きを子どもの頃から習慣づけようと子どもにも分かりやすいように「歯を磨かないとむし歯になるよ」と言いい続けた結果「むし歯の予防には歯磨きが第一」と誤ったイメージが広まってしまったのだと思います。しかし、歯磨きが重要なことに変わりはないので、みなさん歯磨きはしなくて良いと考えないようにしてください。